『寝違えと間違えやすいCrowned dens syndromeについて』

『寝違えと間違えやすいCrowned dens syndromeについて』

 

久しぶりの更新です。

今回、寝違えと思われる症例がありまして、いつものように施術を行ったんですが、全く効果がなく、別の病気と判明した例を経験しましたので、報告させていただきます。

 

寝違えというのは、要は、首周りの筋肉の痙攣だと私は考えていまして、方針としては、僧帽筋、肩甲挙筋、肩甲背神経、棘下筋を目標に刺鍼、1Hzパルス刺激を行います。通常はこれだけでほぼ完治しますが、多少痛みや左右差が出る場合は、局所に鍼刺激を追加することでほとんど解決します。

これでダメな場合は、さらに仰向けに寝て頂いて、肩甲背神経への電気刺激を追加します。

 

ここまでやって治らない寝違えは、通常考えられないのですが、昨日の患者さんはここまでやっても何の変化もなし。

しかも、首回りに熱感がある。

どうもおかしい・・・・

 

色々考えましたが、ここまで治らないと、C3神経あたりの障害でも起こっているのではないかと考えて、さらにC1-C8までに1Hzパルスも追加したんですが、これも効果なし。

 

流石に打つ手がなくなって、ギブアップ!

患者さんにはお詫びの上、神経内科を受診するようお願いしました。

初診でしたので、初診料だけいただきましたが、これだけ変化がないのに施術料をいただくわけにはいかず、施術料金は戴かないことにしました。

 

こういうことは、数年に一度ありますが、流石に落ち込みますね。

 

で、あれは何だったのか?といろいろその後も考えたんですが、どうしても解らない。

で、悩んでいると、翌日その患者さんからお電話があり、神経内科でいろいろ調べた結果、

「Crowned dens syndrome(結晶誘発性関節炎)」という病気であったことが判明しました。

これは、どういう病気かというと、環軸関節 の偽痛風発作です。

環軸関節というのは、首の骨の一番上と二番目の骨の間の関節です。

詳細は省きますが、ここはちょっと特殊な関節になっていまして、ここが痛風の様な症状を起こし、動かせなくなる症状です。

流石にこれは鍼灸の施術対象外で、なんとも使用がなかったわけですが、見た目は明らかに寝違えとか、首の筋肉の問題に見えるので、見誤っていろいろやり過ぎるとかえって悪化しかねませんので、注意が必要です。

 

治療方法としては、ステロイド剤や、NSAIDs(非ステロイド性鎮痛薬)の投与で、数日で改善する様です。

 

いずれにしろ早期に原因が判明し、解決できて良かったですが、鍼灸師には見極めようがない症例で、しかも鍼灸院を利用しがちな症状なので、今後こういう症状があるという事を頭の中に置いた上で、患者様の状態を正しく把握し、施術を行ってまいりたいと思います。