『阿是穴(あぜけつ)鍼灸師』
阿是というのは、中国語で「あ、そこ!」という意味らしく、(済みません。中国語は全くわかりません)、鍼灸では、痛いところに鍼を刺すことしかできない鍼灸師を「阿是穴鍼灸師」と呼びます。
これは、技術の低さを馬鹿にした表現なのですが、実際のところ、痛いところに鍼を打つと、劇的に改善することがほとんどなので、むしろ私は阿是穴を狙うのは正しいし、阿是穴を狙ってきちんと症状を改善するのは、決して簡単な技術ではないので、阿是穴鍼灸師で良いと思っています。
ただその一方で、痛いところに鍼を刺すより、違うところに施術をしたほうが遥かに改善しやすい場合もあるのは事実です。
最近経験した例では、右前の鎖骨下の痛みを訴える患者さんが来られまして、すでにいろいろな病院で問題がないことは確認済みとの事でしたので、内臓疾患が原因の痛みではないことは明確でした。
また、鎖骨付近は、肺が近く、あまり鍼を刺したいところではないという事もあり、胸鎖乳突筋、僧帽筋辺り(要は首周り)を目標に施術してみたところ、今まで何をやっても取れなかった痛みがなくなったのです。
要は、痛い場所が悪いわけではなく、首肩周りの筋肉が鎖骨付近を引っ張っていたために痛かっただけなんですね。
筋肉の張りが問題となる例としては、手首痛 肘痛、頭痛、足首痛なんかも該当します。
良くあるのは、テニス肘です。
テニス肘、と云うのは、テニスなどの腕を酷使する動きを過剰に行なったために、肘に炎症が起きてしまう事なんですが、整形外科で「テニス肘」と診断されてから当院に来られる方も多いので、診断に間違いはないんですが、整形外科とはアプローチが違います。
鍼灸は、というより、これは私独自の方法かもしれませんが、肘に直接施術をすることはほとんどなくて、肘に関わる筋肉の張りを取ることを目的に、主に前腕部に鍼施術を行います。
局所にはお灸を少しする程度です。
実際、これでほとんどの「テニス肘」は治りますので、「テニス肘」という名称に問題がある様に思います。
手首痛、足首痛もこれと同様です。
ただし、手首、足首などの古傷に関しては、直接鍼を打った方が早いですね。
殆どの方が1発で治ります。
それこそ鍼一本で治ってしまうので、お金を頂くのが申し訳ないぐらいです。
頭痛に関しては、以前ご紹介していますので、詳細は書きませんが、多くの頭痛は、側頭筋、僧帽筋、胸鎖乳突筋が原因となっていますので、これらに施術を行うことで改善します。
あと、いつも患者さんに不思議がられるのは、腰痛で、前に鍼をすることですね。
これは、来院された整形外科の医師とも議論になったんですが、私は前も後ろも「腰」だと思うんですが、整形外科の医師の考えでは、悩んでおられましたが、「前部は腰ではなく、下腹部」という見解でした。
でも、腸骨は前まで来ているし、私が鍼を打つのは上前腸骨棘付近で、「腰」という感じが使われている以上、腰だと思うんですが、西洋医学では違うらしいです。
話がそれましたが、整形外科的には「腰」ではない「下腹部」にも鍼をします。
なんなら、ここに鍼をしないと、特にぎっくり腰(急性腰痛)は治せないことが多いです。
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1回で終わらせるつもりだったんですが、長くなってしまいましたので、後半はまた改めて書かせていただきます。
お楽しみに!