「鍼灸師の役割」についてご紹介しています

『鍼灸師の役割』

 

鍼灸院には、実に様々な症状でお悩みの方がお越しになります。

 

西洋医学だと、昔は、街に診療所というものがあって、広範囲の症状に対応してくれていましたし、私自身、子供の頃は、怪我をしては、近くにあった診療所によくお世話になっていました。

 

しかし近年は医療の高度化が進み、専門医による縦割りの医療が当たり前になりました。

 

これはこれで良いことだとは思うんですが、私が疑問なのは、患者は病気に対して素人なのに、自分の症状がどの専門医の担当になるかを自分で判断して通院先を決めなければならないということです。

 

でもそんなことは不可能ですよね?

 

受診しにいって、「風邪だと思うんですが」と医師に言ったら。「誰が風邪と診断したんだ!」と怒られた、という笑い話を聞いたことがありますが、実は現時点の医療制度では、患者自信が、自分の病態を把握し、どの診療科を受診すべきか、自分で決めねばなりません。

 

私の場合、MR(製薬会社の営業)として17年ほど、いろいろな疾患を担当してきましたので、すべての診療科について理解していますが、一般の方はそんなことは不可能でしょう。

 

例えば、頭痛の場合、可能性としては、呼吸器科内科、耳鼻科、整形外科、脳神経外科、神経内科が考えられますが、細かい情報を合わせないと、どこに行けば良いかわからないというのが実情だと思います。

 

当院での実例として、消化器内科で一度は肋間神経痛と診断された方が、最終的には食道癌だったり、足腰の痛みで整形外科で痛み止めの投薬治療中の方をよくよく診てみると実は骨折だったり、なんてこともありました。

 

鍼灸師は診断権限がありませんので、こういうのは本来、医師が判断すべきなんですが、患者さんにしてみれば、いろいろ病院を回った挙句鍼灸院に来て、やっと根本原因が判った。なんて事も有るわけです。

 

なぜ今まで分からなかったかと言えば、その疾患の専門医に受診していないからで、医師の立場では専門外の疾患の可能性について指摘する十分な知識も経験もないので、仕方ないとは思うんですが、せめて「○○科を受診してみては?」ぐらいの助言があっても良さそうなものですが、助言してくれる医師は少ないように思います。

 

もちろん鍼灸師も各疾患の専門ではありませんが、東洋医学は全身を診るのが基本。

生活習慣、仕事の内容、睡眠や食事の状態、脈拍、舌の色形状、声の状態なんかまで観察して総合的に判断を下します。

 

鍼灸学生の頃、担当の教官が「鍼灸師の仕事の半分は、その病気が鍼灸適応なのか、西洋医学で対処すべきか見極めること」と話しておられたのが、大変印象的で、今でもはっきり覚えています。

 

つまり、今回の題名である

「鍼灸師の役割」

とは、「適切な鍼灸施術を施すこと」

だけではなく、

「その患者さんの状態を正確に見極め、西洋医学も含めた適切な治療方針を提示すること」

も必要なのだと思っています。

そして、いぶき館鍼灸治療院は、昔の「診療所」みたいな役割も担える様になりたい

と願っています。

 

もし、自分の症状に何かしらご不安があれば、お気軽に当院にご相談いただければ幸いです。

いぶき館は、皆様の笑顔のために全力を尽くします。