『夏こそ、冷えに注意!』
東洋医学で良く用いられる表現に「冷え」という言葉があります。
読んで字のごとく、体が冷えて様々な症状が起こることです。
西洋医学では「低体温症」とか、「凍傷」なんていうのはあるんですが、
東洋医学的な「冷え」という考え方が無いようで、今回はこのことについてご紹介してみたいと思います。
「冷え」というのは、当然、低い温度などに体が晒されて起こる様々な症状で、内科的には下痢なんかがそれに当たります。
下痢に対しては、もちろん「温める」ということが必要で、特効穴としては、脚の梁丘 (りょうきゅう)や足三里などにお灸をすると効果的です。
もちろん、へそ下の部分を温灸やカイロなどで温めるのも有効ですね。
ただ、今回得のご紹介したいのは、頭痛、難聴、首痛、肩痛などのお話なんです。
冷えと関係ないと思われるかもしれませんが、実はこれらの症状の根本原因が首肩周りの筋肉の拘縮であることが少なくないのです。
そのため、治療方針としては、首肩周りの
胸鎖乳突筋、僧帽筋、棘下筋、大胸筋、小胸筋などを緩めることから始めます。
この辺りの筋肉が硬くなると、体幹から頭へと通じる大きな血管や神経を圧迫し、様々な不具合を生じやすくなります。
先ほどお示しした頭痛、難聴、首痛、肩痛等がそれに当たります。
こんな夏の盛りに、なんで「冷え」の事をご紹介しているかというと、実は、夏場の方が冬場より「冷え」による患者さんが多いからなのです。
「???」
となる方も多いかと思いますが、これは、いわゆる現代病と言える現象ですね。
人間の体は、特に四季のある環境で生活していると、夏場は夏に環境に適応し、冬場は冬の環境に適応するように体が少しずつ変化をします。
このため、季節の変わり目である「春先」や「秋口」という季節は体の状態が季節の急激な気温変化などについていけず、体調を崩しやすいのです。
つまり、冬は寒さに強い状態。夏は暑さに強い状態になっているわけです。
さらに冬場は着衣の状態が寒さに耐えられるよう、暖かいものになるわけですが、夏場は暑さに対応するために体の露出が大きく、冷えやすい服装を選ぶことがほとんどです。
とは言え、現在では、夏場も室内では空調設備が整っていることがほとんどで、夏向けの服装では却って体を冷やしすぎることが多いのです。
そういうわけで、当院にも「冷え」が原因と思われる患者様が多数来院されるこの季節。
「夏こそ、冷えに注意」というのを来院された皆様にお話ししております。
ちなみに「首」と付く体の部位、手首、足首、なんていう部分も冷えやすく、痛めやすいことになりますので、充分注意されることをお勧めします。
熱中症対策として、首肩周りを冷やすのは大変有効な手段なので、もちろん実践していただきたいんですが、効率よく冷やせる場所なだけに、冷やしすぎるとマイナス面も出てきてしまいます。
エアコンや扇風機の風が常に当たる環境などは特に注意が必要です。
「最近、頭痛、難聴、首痛、肩痛などがひどいなぁ」
と感じている方は、今一度ご自分の生活環境を見直してみてはいかがでしょうか?