先日、久しぶりにある患者様が来院されました。
この方は昨年2月に初めて来院され、主訴はうつ症状でしたが、それ以外にもいくつかの問題を抱えておられました。
もちろん精神科に通院中で、薬物療法を行っていました。
この方の場合、病歴は10年以上で、なおかつ、過去、様々な薬物療法を行われており、
現状でも5種類ほどの抗精神病薬、抗うつ薬、睡眠導入剤などが使用されていました。
そこで、まずはお薬を減らすことを主眼に置き、減らすべき薬をアドバイスしながら、必ず医師と合意の上で薬剤を減らすように指示をしました。
そして3ヶ月後には、単剤にすることに成功し、体調もよくなってきたのですが、そこからが思いのほか長くかかりました。
このとき使用していたのは、分類上、抗精神病薬なんですが、半減期が122時間もあるちょっと特殊な薬で、添付文書上にも「離脱症状」について記載があるため、中止する際は、慎重に行う必要があるのです。
とはいえ、通常は1/4づつ、二週間程度の期間で減らしていけば問題は少ないはずなのですが、この時は2錠→1.5錠→1錠と徐々に減らしたものの、1錠まで減らしたところで不調が出てしまい、また1.5錠に戻し、3ヶ月ほどかけて1錠まで減らし、その後は0.75錠、0.5錠と慎重に減らし、10月末にようやく完全離脱に成功しました。
つまり減薬を始めてから8ヶ月程度を要したわけですが、その後も経過観察をしながら鍼灸治療を続け、この春にはほぼ完治と言える状態になりました。
彼は今、農業に興味を持ち、先月から農業に従事し始めたとのことです。
久しぶりに見た彼の体は、農業従事者らしく真っ黒に日焼けし、その顔つきには自信があふれていました。
なんと、この秋の福岡マラソンにもエントリーしたそうです。
このように若い人が元気になっていく姿を見るのは、私にとって大変嬉しいことです。
今回は慣れない農作業で腰を痛めたための来院でしたが、これから体ができてくれば、腰痛などにも悩まされることなく、元気に働いて行けることでしょう。
お薬が全て悪いとは言いません。
私も製薬会社で薬を勧めて来た人間です。
でも、お薬は基本「毒」と言うことを忘れないでください。
いぶき館は患者様の笑顔のために全力を尽くします。
何かお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。