「クスリ」は「リスク」
私は、薬剤師ではありません。
鍼灸師にすぎません。
ただ、外資の新薬メーカーに23年勤め、MRとして17年活動する中で千人以上の医師と関わり、様々な疾患について、医師、薬剤師、看護師の皆さんと話をし、情報を提供し、情報をいただき、仕事をしてきました。
その為、医療従事者ではない方がご存知ない様な話も沢山知っています。
多くの皆さんは病院で処方されたお薬を飲まれることがあると思いますが、ここで気をつけて欲しいのは、基本、「薬は毒」ということなのです。
お薬の詳しい資料を見ると、必ず、LD50、ED50、t1/2、tmax、Cmaxなどの数値が出てきます。
LD50という数字はかなり詳しい資料を見ないと載っていないのですが、どんな薬も必ずLD50は計測します。
一番知っておいて欲しいのは、tmax(ティーマックス)」とt1/2(ティーハーフ)
tmaxは最高血中濃度到達時間 t1/2は薬成分の血中濃度が半減するまでの時間
つまり、tmaxはお薬が効き始める時間の目安で、t1/2はお薬が効き続ける時間の目安となります。
さらに、LD50、ED50についてですが、ED50は50%効果用量 つまり半分の対象に効果が出る容量で、これも薬剤の用量設定上重要な指標となります。
さて一番注意したいのは、LD50です。
これは「半数致死量」を表す数字です。
ご理解いただけますか?
お薬を作るときには必ず、動物実験などでこの数値を確認します。
そして、LD50より大幅に低く用量を設定するのですが、これはED50よりは高くないければなりません。
要は、毒を薄めて使っているのが薬なのです。
もちろん、砂糖や塩でも大量に飲めば毒になります。
毒にならない容量で食べものに美味しく作用するものが調味料です。
それと同じです。
ですので、「薬は毒だから飲むべきではない」という話ではないのです。
ただ「薬は基本毒だから、必要最低限にすべき」ということをお伝えしたいのです。
当院に内科的な症状で来院される患者様からは出来るだけお薬手帳を見せていただく様にしています。
と言いますのも、その症状。特にうつ的なものや、眠気が取れない、だるい、などの症状の大半が薬の副作用の可能性があるからなのです。
先日など、ある患者さんのお薬手帳を見て、どう見ても納得いかない薬があったので、「次回医師と相談してください」とお話ししたら、なんとその場で病院に電話されて、医師と話をされたんですが、医師からは「飲まなくても良い」と言われ、「じゃあ今までなんだったんだ!」と憤っている方もおられました。
こういう例は、本当に沢山あって、もちろん皆さんは医師に処方されたお薬は正しく飲むものだとお考えだと思いますし、大枠で間違ってはいないのですが、以下のことを注意してください。
1、3ヶ月以上飲んでも効果がない時は、効果がないと判断すべき
2、一つの症状に対して3種類以上のお薬が出たら、薬を減らせないか、相談すること。
3、一つ一つのお薬については、十分理解して服用すること。
4、調剤薬局の薬剤師には遠慮せず、なんでもわからないことは聞くこと。
5、服用開始時より悪化していたり、今までにない症状が出たら(副作用の可能性があるので)、必ず医師、薬剤師に訴え、対応してくれなければ病院を変えること。
もう一度お伝えしますが、
「薬は基本、毒」なんです。
「クスリ」を逆から読むと「リスク」
これは事実を端的に表した言葉です。
もう一つ言えば、副作用のない薬はありません。
余談ですが、20年ほど前に、私の母が癌で入院した時、担当医が、「新しい使い方で、吐き気などの副作用は出ません」と説明をして、母に癌宣告することなく薬を使おうをしたので、現役MRの私と、元ホスピスナースの嫁さんが「そんなわけないだろう。やめてくれ」と言ったのに、素人の父に電話して承諾をもらい投与を開始。結果もちろん嘔吐が出まくりで中止させましたが、こちらの予想通りの展開で、医者が信用できず、信頼できる病院に転院させたことがありました。
お薬を大量に、長期間服用されている方は、是非、積極的に減薬をご検討ください。
ここまでお薬の減量にこだわるのには理由がありまして、実は、薬が入りすぎていると、鍼の効果が出にくいのです。
鍼灸師の立場としては、
「最低限の服薬でお薬に頼りすぎない医療を目指し、患者様の健康に貢献したい」
と考えております。
長期間の不調でお悩みの方は、鍼の併用も検討されてはいかがでしょうか?
ご質問などあれば、いつでもいぶき館までお問い合わせください。