時々、この場所でお薬の話を書かせていただいているんですが、精神科領域の専門MRとして活動していた私が本気でお勧めしたい一冊がこの本。
内科医である内海聡先生が2012年に出版された、「精神科は今日も、やりたい放題」です。
私が製薬会社を退職した後に発売された為、在職中に読むことはなかったんですが、在職中に読んでたら、仕事できなくなったんじゃ無いか、と思うほどの内容。
在職中も、そうなんじゃ無いかなぁ、と薄々は感じていたんですが、会社も、医者も否定的なことは一切言わないし、日々求められることは「薬を売ること」だったので、麻痺してたところはあったと思います。
そんな私が抗うつ薬を担当していてずっと引っかかっていたのは、今や主流となっているSSRIやSNRIという薬が効く、とされる根拠は「モノアミン仮説」という説で脳内にあるセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンという3つのモノアミンの不足によってうつ病が発症するという考え方です。
しかしこれはあくまで「仮説」。なぜかというと、うつ病の患者さんの頭の中がどうなっているのかを客観的に観察する手段がないから。
実は統合失調症も同じ様なモノで、A10神経とか、ドーパミンが、とか、物凄く難しい理論で抗精神病薬の正当性は作られているんですが、実はこれもお薬がどの様に脳内に作用して、効果を発揮しているのか、というのは客観的に測定する術がないのです。
なので、雑な言い方をすれば、「経験的には、おそらくこうではなかろうか?」という客観的なデータに基づかない理論で、精神病の治療は行われているのです。
もっと言えば、実は診断も客観的には行われません。
例えば、風邪をひいたら熱を計りますよね?
喉に腫れがないか、痛みがないか、みたりしますよね。
インフルかどうかの診断は、検査キットを使いますよね?
骨折はレントゲンで確認しますよね?
現代の医療はEBMが基本。
客観的に評価できる事実を基に診断、治療を行います。
ところが精神科だけは全て医師の「主観」なんです。
最近、当院に「うつ病と診断されたんですが」と鍼灸施術を希望してこられた方がおられましたが、明らかにうつ病ではないのに、「うつ病」と診断され、抗うつ薬を処方されていました。どうしてこういうことが起こるのかも、この本には書いてありますが、要はうつ病かどうかは「医者の主観」で決まる、ということが問題なのです。
自分は、うつ病かもと考えている方。
うつ病と診断されて薬を飲んでいるが、改善しない、という方。
是非、この本を読んでみてください。
オススメです!