腰痛の話

腰痛の話です。

 

腰痛に効くドリンク、なんてものも最近ではテレビでCMしたりしてますが、腰痛、と一言で言っても様々な病態があり、痛め方も違うので、ドリンクを飲んだぐらいで治るとはとても思えないのですが、私自身は試した事がないので、もしかしたら治るのかもしれません。

今度腰痛が起きたら試してみようと思います。

 

さて、腰痛の話ですが、実は腰痛というのは、いろいろな要因で起こります。

図には脊柱起立筋、腸骨筋と仙腸関節、大腰筋を示させていただきました。

今回はこれらの腰痛とその対処方法について書いていこうと思います。

 

① 脊柱起立筋

よくある腰痛で一番多いのが、青の脊柱起立筋です。

顔を洗ったりするために少し屈むのがきつい、という場合にここが該当します。

実は一番治しやすいのもここなんですが、慢性化している方が多く、実際は一度で完治することは少ないです。

脊柱起立筋の場合は、腰の真ん中より少し下。骨の場所で言うと、L2とL4の両脇に4cmほど鍼を真っ直ぐ打ち、さらにL3とL1の外方5−6cmの所から内方に向けて長めの鍼を45度ぐらいの角度で打ち込みます。

その上で、電気刺激を10〜15分 筋肉が動く程度の強さで刺激します。この電気刺激は全て共通です。

 

② 腸骨筋

いわゆるギックリ腰で一番多いのが、この筋肉を痛める方です。

これは、図中のオレンジで示した部分ですが、ここで一つ注意して頂きたい事が。

腰痛は英語では「backache(バックエイク)」、または「back pain(バックペイン)」と表現するんですが、実は「back」だけが腰ではないんですね。

腰というのは、このオレンジの部分までを含みます。

腸骨筋というのは腸骨、いわゆる骨盤と言われる骨の内側に後ろから前まである、大きな筋肉で、オレンジ部分全てが腸骨筋

あとで説明する「大腰筋」と併せて「腸腰筋」と言われるんですが、こちらの方が耳馴染みがあるかもしれません。

腸骨筋は度々ご紹介していますが、腸骨の内側にある筋肉のため、表面からは触る事ができません。

したがって、通常のマッサージは不可能。ストレッチをかける手もありますが、小学生や、小柄な女性とかならなんとかなるんですが、この様に大きな筋肉なので、力も相当強く、ストレッチもなかなか難しい。

その為、治す方法としては、医師が長い針で筋弛緩薬を打ち込むか、鍼灸師が長い鍼を使って、電気刺激を与えるかしかありません。少なくとも私はその二つしか知りません。

ただ、医師がこういう方法をとることはなぜか無いので、鍼灸でしか直せないことになるのです。

あと、この腸骨筋を痛めると、臀部の上の方に痛みを伴う事が多く、要は、腸骨筋の表側なんですが、この辺りも同時に施術するとより一層効果が上がります。

 

③ 仙腸関節

図中の緑で示した部分が、仙腸関節です。

これは解剖学的には「半関節」といい、殆ど動くことはありません。なので、関節と言いながら、関節の働きはしていないんですが、ギックリ腰では、ここを捻挫、というか、炒める事があります。

ですので、②の腸骨筋を痛めている時は、この部分もチエックします。頻度としては1割程度で多くはないのですが、必ず確認する様にしています。

 

④腰椎症

後ろに反るのがきつい、腰痛の場合

これは筋肉ではなく、図で言うならば、赤い大腰筋で示した辺りの関節(腰椎)の問題である事が多いです。

この場合は、頸椎症でも同じなんですが、L4,5辺りを押すと、強い痛みを感じる部分があります。まれにL3の事もあります。

この痛い腰椎の左右1cmぐらいのところに4―5cm鍼を垂直に刺入し正中線を横断する様に電気刺激を入れます。

 

⑤ 大腰筋

実は一番施術しにくいのが、この大腰筋を痛めた場合です。

図の赤い部分なんですが、実はこの筋肉、①の脊柱起立筋のさらに深層にあり、ざっくり言えば体の中心を貫いで股関節付近まで続いています。

その為、表面からは全くアプローチはできず、鍼を刺すにも10cm程の深さがある為、大変難しいのです。

当院でも9cmまでの鍼しかなく、明らかに大腰筋を痛めている場合は、できるだけ深く大腰筋の近くまで鍼を挿し、電気刺激を与える事で対応しています。

今までこの部分を痛めた方は10人ほどしか経験がありませんが、うちお一人は体格の問題で鍼が全く届かず、なす術なしでしたが、他の方は一応、解決する事ができました。

とは言え、施術自体が難しいので、できれば診たくない症例ではあります。

 

以上、5つのポイントをご紹介させて頂きましたが、勿論、これ以外にも多種多様な症状があり、一概には言えないのですが、この5つで95%ぐらいの症例はカバーできると考えています。

腰痛でお困りの方は、ご相談いただければ幸いです。

よろしくお願いいたします。